あなたとのキョリ

『やったー!!
やっと放課後だー!!』
子猫ちゃんに会える〜
楽しみ〜!

「こら桃、
教室で騒がないの」
掃除が終わった瞬間そう叫んだわたしを
鈴華は笑いながら怒った

『えへへ〜
ごめんなさい』
早く子猫ちゃんに会いたいな〜
早く駿君こないかな

『あっ!!』
駿君来た!

「ちょっと待ってて、桃
すぐ終わるから」
鈴華は駿君のもとへ駆け出そうとしたわたしを止め、駿君に何かを言ってすぐに戻ってきた

駿君はドアの前で少し青い顔をしている

『しゅ、駿君に何を言ったの?
鈴華』
にこにこしてるけど、今はその笑顔が少し怖い

「んー?
なんでもないよー
ほら、いっておいで」
鈴華が何を言ったのか気になったけど、
あとで駿君に聞けばいいか

子猫ちゃんに早く会いたいし!

『駿君!
早く行こう!』

「あ、おう
行くか」
駿君はまだ少し青い顔をしている
体調悪いんじゃないよね?

『駿君、大丈夫?』
わたしが顔をのぞき込むと、今度は顔を真っ赤にした

…なんか信号みたい

『ぷっ…
あははっ!!』
自分で想像して笑ってしまった

隣の駿君は、訳がわからないという感じでわたしを見ている

「え?
なに、どうしたの?」
急に笑いだしたから、びっくりするよね

『なんでもないよっ!』
笑いすぎてまだ呼吸が整わない

「ふふっ
変なヤツ」

『へっ、変なヤツ!?
し、失礼なー!』
わたしは駿君の頭を叩こうとしたけど、
180cmもある駿君の頭になんか届くわけがなくて、軽々とかわされてしまった
くっ、悔しい…

『もう知らない!
信号なんてっ…
あっ…』

「信号?」
ま、まずい…
信号って言っちゃった

恐る恐る後ろを向くと、駿君は

「詳しく聞かせてもらおうか」
と不敵な笑みを浮かべた