あなたとのキョリ

「ちょっと、そんなに警戒しないでよ」

わたしが駿君から離れて道の端っこを歩いていると、駿君は傷つくなぁと笑った

『だって…
なんでわたしの家知ってるの?
わたし駿君に家教えてないよね?』
警戒して当然だよ…
朝いきなりいたら誰だってびっくりするよ…

「俺の家
桃の家からすぐ近くなんだよ」

『え!?』
うそ!?そうだったの!?

「ほら、あの緑の屋根の家
あれ俺の家」
ほ、本当だ…
けっこう近い

『し、知らなかった』

「だろうね
でも、
俺はずっと桃のこと知ってたよ」
駿君は切なそうな顔でわたしを見た
切なさの中に愛おしさが見えて、わたしは心が痛くなった

『ど、どうしてわたしのこと前から知ってたの?』
わたしは顔を直視出来なくなって、少し目を逸らして聞いた

「…長くなるけど
聞いてくれる?」

『もちろんだよ
わたしから聞いたんだし、
それに、駿君のこと、知りたいし』
駿君は嬉しそうな顔で微笑んだ

「あれは、
今とは制服が違ったから、中学のときかな」