あなたとのキョリ


『篤史、あのね』

「ん?」

『わたし、篤史が他の子と話してると…
少し寂しいっていうか…その…やだな…
って思っちゃって…』

篤史、めんどくさいって思わないかな…

でも、これがわたしの本心だから

『大好きな篤史の笑顔は…
わたしだけに向けてほしいな…
…って、そんなの無茶だよね!
わ、わたしったら何言って…
急に変なこと言ってごめんね!』

言い終わったあと恥ずかしくなって、
わたしは思わず早歩きになる

はぁぁ、恥ずかしい…
わたしは素直じゃないから、これが精一杯…

『きゃっ…』

篤史の少し前を行っていると、篤史が後ろからわたしを抱きしめる

心臓がものすごい速さで脈打って、戻りかけていた頬が、また真っ赤に火照る

『あ、篤史?』

「今の…本当?」

『え?』

わたしがこくりとうなずくと、篤史は抱きしめるうでにさらに力を込めた

「鈴華…
可愛すぎ…」

『え!?』

な、な…

耳元で呟かれて、何も考えられなくなる

『め…めんどくさいって思わない?』

「全然思わないよ
だって、やきもちやいてくれたってことでしょ?」

『…うん』

そっか…
このモヤモヤは
ずっとやきもちやいてたからだ…

「じゃあ俺、なるべく女子とは話さないようにする」

『や、でも、
わたしの勝手な気持ちだし…
篤史に迷惑かけるつもりじゃなかったの』

「迷惑じゃないよ
むしろ、鈴華が俺のことを見ていてくれて、嬉しい…」


篤史優しいな…

やっぱり、篤史といると、安心する…


…あっ、そうだ!

『えと…
じゃ、じゃあ、女の子と話すときだけ、メガネしてて…』

「いいけど、なんで?」

『えっと…』

恥ずかしい…

ちゃんと素直になれ!わたし!

『…前みたいに……
わたしと話すときだけ、メガネ外して欲しいなって思って…
あのとき、なんか特別な感じしたから…』

言い終わると同時に、
篤史がわたしにキスをした

ぽかんとして篤史を見ると

篤史は無邪気な笑顔で

「わかった!」

と言った


ちゃんと
自分の気持ち伝えてよかった


篤史にとって、
わたしが特別な存在であるといいな


✼「メガネ」end ✼