『ありがとうございました!』
高校を卒業した後
わたしはcat tailで働き始めた
ゆるく巻いて、ハーフアップにした髪には、今日もスズランのバレッタが輝いている
そして、胸元には、
ネックレスに繋がれたベビーピンクの小さなハート
「桃ちゃん
今日この後用事あるんでしょ?
特別に、早めにあがっていいよ」
『え?でも…』
「いいからいいから!
高校の友達と集まるなんて素敵だね〜
楽しんでおいで!」
『では、お言葉に甘えて!』
急いで着替えに行って、愛おしい人に電話をかける
『駿!お仕事終わった!』
《じゃあ、迎えに行くな》
『うん!』
仕事は、先輩も優しくて、友達も優しくて、すごく楽しい
この道を選んで、本当によかった
『では、お先に失礼します』
「お疲れさま〜
あ、そうだ、本庄さんが作ったぴぴロールケーキ、好評だったよ」
『本当ですか!?
わぁ〜、嬉しい!』
「本庄さん」って呼ばれるのは、
やっぱり少し照れちゃう
でも、あの人と同じ名前を呼んでもらえるのが、すごく嬉しいんだ
『駿〜!』
「桃、お疲れ
鈴華と篤史、もう来てるってよ」
『そっかぁ!
急がなくちゃ!』
駿が手をつないで歩き出す
ときどき当たる指輪の感触に
幸せを感じた
「あ、来たきた!
桃〜、駿〜!」
『あ!鈴華たちだ!』
「桃、仕事お疲れ〜」
『ありがとう!』
「じゃあ、行くか」
『うん!』
大人になったわたしたち
今でもみんなと一緒にいられることが
すごく嬉しい
わたしに、
こんなに幸せにしてくれて
ありがとう…
みんなみんな、
本当にありがとう…
みんなの幸せが
ずーっと続きますように
✽end✽
