『ここって、公園?』
「そう」
ひとしきり遊んだ後、駿君が連れてきてくれたのは、公園だった
駿君の行きたいとこって公園だったんだ
公園といっても、遊具とかはなくて
小さな花壇のある遊歩道にベンチが置いてあるだけのシンプルな公園
「桃、座ろ」
『うん!』
花壇のそばにあるベンチに2人で座る
「桃、今日は楽しかったか?」
『うん!すっごく楽しかった!
誘ってくれてありがとう!』
「こちらこそ」
駿君が優しくわたしの肩を抱き寄せる
大きな肩に、わたしは素直に体をあずけた
「桃、誕生日おめでとう」
『ありがとう、駿君』
大好きな人と過ごす誕生日って、
とってもとっても幸せなんだね
嬉しいな…
「目つぶって、手出して」
『うん?わかった』
「ああ、こっちの手じゃなくて、こっちの手」
そう言って
駿君が優しくわたしの左手を握る
「はい、目開けて」
『わぁっ!かわいい!』
左手の薬指に
キラキラと輝く小さなハート
『かわいい指輪だね!
それに、この色って…』
「ベビーピンク」
『やっぱり!
わぁ〜嬉しい…大切にするね』
指輪をうっとりと眺めていると、駿君がわたしを抱き寄せた
『ひゃっ
しゅ、駿君?どうしたの…』
「桃…」
駿君が、真剣な顔でわたしを見る
「左手の薬指…
意味わかる?」
『へ?…あ……』
今気づいたけど、
左手の薬指って…
「俺、桃と出会えて本当によかった
こんなにも大好きなれる人は、桃しかいない」
『駿君…』
「桃、俺のこと好きになってくれてありがとう…
俺は、この先の未来も、ずっと桃と一緒にいたい」
涙が1粒頬を伝う
「一生…俺の傍にいてほしい」
『うんっ…』
涙で視界が歪む中、駿君が優しく微笑む
「俺が…
大学を卒業して、しっかりと桃を守れる大人になったら…」
『…うん……』
「俺と
結婚してください」
『はいっ…!』
わたしが再び駿君に抱きつくと、駿君もわたしを抱きしめて、頬に優しくキスをした
『わたしなんかで…いいの…?』
「なんかじゃないよ
俺がずっと一緒にいたいのも、こんなに大好きな人も、桃しかいない…」
『わたしもっ…一緒にいたいって思うのでも…大好きなのも…駿君しかいないよ…!』
「ありがとう、桃…」
駿君がわたしの頬に手を添え、
キスを落とした
何億人もいる人の中で、大好きな人に出会えた奇跡
わたしは
その奇跡を、大好きな人を、
ずっとずっと
大切にするよ…
駿君…
わたしと出会ってくれて、ありがとう…
ずっとずーっと
一緒にいようね
