あなたとのキョリ


「どこか行きたいとこあるか?」

『え?わたしが決めていいの?』

「あたりまえだろ
今日は桃の誕生日なんだから」

『やったー!!
えっとね〜、あ!あそこ行きたい!
cat tail!』

「よし!じゃあそこ行くか!」

cat tailは、わたしと駿君が初めてでかけたときにパフェを食べたところ

あそこのピーチパフェ、すごくおいしいんだよね!


「ほら、着いたぞ」

『わ〜い!』

席に座ると、店員さんがお水とメニューを持ってきてくれた

あれ?ここ、パフェ以外にケーキとかクッキーも作るようになったんだ!

うぅ、迷うなぁ…

けど、やっぱり

『わたしはピーチパフェかな!』

「やっぱりな
飲み物はどうする?」

『ミルクティがいいな』

「オッケー
すみませーん、注文お願いします」

「はーい」

「ピーチパフェ1つと、ミルクティ1つ
あと、コーヒー1つで」

「かしこまりました」

わぁぁ楽しみ〜

『駿君、ありがとね!』

「ん?なにが?」

『わたしと一緒にいてくれて!』

そう言うと、駿君は照れたように笑った

「そんなの、俺の方こそ…
俺と一緒にいてくれて、ありがとな」

『えへへ〜』

駿君と一緒にいるだけで、幸せで胸がいっぱいになるんだ

「お待たせしました〜」

『わぁっ!ありがとうございます!』

相変わらずおいしそ〜

『いただきます!』

「召し上がれ」

一口食べると、ほわーんと笑みがこぼれる

おいしい〜
幸せだぁ〜

『そういえば、駿君ってどこの大学行くの?』

駿君、頭いいから、きっとレベルの高い大学行くんだろうな〜

「ん?俺はS大」

『ひえぇ〜』

S大っていうとすごい一流の大学だぁ…
すごいなぁ…

「俺、将来教師になりたいんだ」

『学校の先生!?すごーい!!』

駿君は夢まですごい!

きっと生徒から大人気だろうな〜
優しいし、かっこいいし!

『応援するよ!
がんばってね!』

「ああ、ありがとう
桃は、何かやりたいこと見つかってきたか?」

『うーん…まだはっきりとは…あ…!』

目の前にあるピーチパフェを見つめて、
ふと思い浮かんだこと

『…やりたいこと、見つかった!』

「ほんとか!よかったな!」

『わたし、大学行かずにそのまま就職する!
それで、こんなふうに、人を笑顔にできるおいしいものを作ったりしたいな!』

「なんか桃らしいな
俺は桃の選んだ道を応援するからな
がんばれよ!」

『うん!』

実際に作ることはできなくても、メニューを考えたりしたい!

自分が作ったものを、人に食べてもらえるのって、すごく幸せだと思うんだ!

だから、わたし、
この道に向かってがんばる!


『おいしかった〜』

「よかったな」

『うん!』

テーブルに置いてあった伝票に手を伸ばすと、駿君がわたしより先にそれを取った

「桃は出さなくていいよ」

『え?でも…』

「いいから、な?」

本当にいいのかな…
なんか駿君からもらってばっかりな気がする

わたしが申し訳なさそうにしていると、駿君が優しい言った

「じゃあ桃
後で俺の行きたいとに行っていいか?」

『うん!もちろん!』

「ありがとう」

駿君がふんわりと微笑んで
わたしの手をつなぐ


駿君の行きたいとこってどこだろう
わたしはワクワクしながら駿君の隣を歩いていた