あなたとのキョリ


『駿君!』

いつもの待ち合わせ場所の駅前

そこに駿君の姿を見つけて、わたしは思わず駆け寄った

『ひゃっ!』

「わっ!おいっ!」

走ってる途中に、小さな溝につまずいて
しまった

転ぶ!と思ったら、ふわりと体が浮き、大好きな駿君の笑顔がのぞき込む

「相変わらず危なっかしいな
大丈夫か?」

『うん!
ごめんね、ありがとう!』

「どういたしまして
ん?桃、なんかキラキラしたの付けてるな」

『これね、鈴華がくれたの!
スズランのバレッタだよ!』

「へー、すげぇ…
綺麗だな」

駿君が興味深々にバレッタを見る

その様子がなんだかかわいくて、今日はわたしが頭を撫でてみた

「な、なんだよ…」

『えへへ
なんとなく〜』

頭を撫でていると、駿君がわたしの手をとった

「ほら、行くぞ」

『はぁい!』

少し頬を赤くしながら駿君が歩き出す

大きくて温かい手に引かれて、わたしはいつも以上に幸せを感じていた