あなたとのキョリ


『では、鈴華!
またお願いします!』

「うん!まかせて!」

ダブルデートのときのように、鈴華がわたしの家に来てくれてメイクをしてくれる

「前と同じでいい?」

『うん!』

メイクをした後、髪の毛を巻く

今日は、髪の毛を巻いた後に、ゆるめのハーフアップにしてくれた

「桃、これはわたしからのプレゼント」

『わぁっ!ありがとう!
なにかなぁ?』

綺麗にラッピングされた袋を開けると、
中にバレッタが入っていた

『かわいい…
これって、スズラン?』

「そうだよ」

黄金色に輝くスズランの模様
スズランの周りには、小さな蝶が舞い踊り、魔法の粉のようにキラキラした燐粉をあたりに散らしている

『すごく綺麗…
ありがとう!』

「喜んでくれてよかった
…スズランの花言葉ってね、意識しない美しさ、とか、純粋、っていう意味があるんだって」

『へ〜、そうなんだ』

「桃にぴったりでしょ?」

鈴華がわたしを見て優しく微笑む

その笑顔を見て、思わず泣きそうになった

「それからね、
純恋っていう意味もあるの」

『純恋…』

「桃と駿に、ぴったり…
本当に、純粋にお互いを想い合ってる」

『鈴華…』

わたし、こんなに人を大切にできる人の親友になれて、本当に幸せ…

鈴華…ありがとう…
大好きだよ…

『ふぇっ…』

「こらこら
今から駿と会うのに、泣いたらだめよ」

『だって…
鈴華、優しすぎるよぉ…』

「だって、桃のこと大好きなんだもん
大好きな親友には、
笑顔でいてほしいの」

鈴華がハーフアップにした髪の毛に、バレッタをとめた

「だから、ほら、笑って?」

『うん…
鈴華、わたしも大好き!』

「わたしも桃のこと大好きよ」

鈴華がわたしをぎゅっと抱きしめる

そして頭を撫でると、

「いってらっしゃい!」

と言って、にっこりと笑った

『いってきます!』

綺麗で、頭が良くて、人のことを大切にできる、わたしの大好きな親友

鈴華が、
これからも、ずっとずっと
毎日幸せで、笑顔でいられますように…