「桃おはよ〜
ところで、桃はなんて書いたの?」
『鈴華おはよう!
…書いたってなにを?』
「進路希望調査!
今日提出って昨日連絡されたじゃない
まさか、忘れてたんじゃないよね?」
『へ?』
進路希望調査…
忘れてたぁ!
『ど、ど、ど、どうしよう!』
「え?今から書けばいいじゃない」
『どうするか決めてない…』
「ええ!?
もう9月だよ!?」
高校3年といえば、将来に向けて本格的に進路を決めて努力する時期
でもわたしは将来何になりたいかも、高校を卒業したらどうするかも全然決まってない…
「とりあえず、先生に断ってきたら?」
『うん…』
はぁ…
どうしてわたしってこうなのかな…
なんにも決まってないなんて、きっとわたしだけだよ…
『失礼します
あ、先生』
「あら、桜田さん
おはよう」
『おはようございます
あの…実は、まだ進路希望調査書けなてくて…』
「そうなの?
進路は決まってる?」
『まだ、決めてなくて…』
そう言うと、先生は驚いた顔をした後、
カレンダーを見た
「もう9月半ば
そろそろ本格的に進路を決めないと、後から大変になるわよ?」
『はい…すみません…』
「でも、焦りすぎてもだめ
自分が本当に進みたい進路を見つけて、後悔のないようにね
桜田さんは、一生懸命な子だから大丈夫
よ」
『うわぁぁん先生〜』
先生の言葉に感動して、わたしは思わず先生に抱きついた
先生はわたしを離したりせずに、優しく背中をさすってくれた
「桜田さん、がんばってね」
『はい!がんばります!』
担任の先生がこんなにいい先生でよかった!
わたしは先生に深くお辞儀をすると、職員室から出た
