「あれ?
桃、リップ少しとれてない?」
『え?』
あ、本当だ
鏡で見ると、真ん中が少しだけ色が薄くなっていた
鈴華がカバンからリップを出しながら
不思議そうに呟く
「これあんまり取れないやつなんだけどなぁ…
唇触ったりした?」
『唇?触ったりなんか…あ…』
も、もしかして…
さっき、キスしたから…?
駿君を見ると、いたずらっぽい顔で笑っていた
『〜っ!!』
顔に一気に熱が集まって、思わず口を手で隠してしまった
「えっ?桃?
急にどうし…あ…」
鈴華は何かを悟ったように微笑む
「そっかそっか〜
いなくなったと思ってたら2人でいちゃついてたのね」
『ち、違くて…』
わたしが慌て出すのを見て、鈴華が満足そうに、にこにこ笑っている
うわあああぁん
なんか井上君まで温かい目でわたしと駿君を見てるー!
「仲が良くて何よりですよ」
『ふえぇ…』
鈴華は、リップを塗り直すと、
そのままわたしにリップを渡した
『へ?これ…』
「あげる!」
『い、いいの?』
やったぁ!
ベビーピンクのリップもらった!
嬉しいなぁ!
この色大好きになったし、駿君も褒めてくれた色だからね…ってわああぁ!
お、思い出しちゃだめー!
『で、でも
どうしてわたしにリップくれるの?』
さっきのことを思い出さないように
無理やり話題を変えると、鈴華が満面の笑みをわたしに向けた
「桃、その色似合うから!
それにね…」
鈴華がわたしに近づいて耳打ちをする
「また…
駿からとられちゃうかもしれないでしょ?」
『へえぇっ!?』
な、な、な…
わたしが口をパクパクさせると、鈴華がまた満足そうに笑った
『り、鈴華のばかぁぁっ』
体がどうしようもないくらい火照る
り、鈴華のばかばか!
余計に恥ずかしくなっちゃったよー!
ううう…
もう恥ずかしすぎて消えたい…
「さて、バカップルとも合流したことだし!進もうか!」
「ああ、そうだな」
「桃、行くぞ」
駿君が再びわたしの手を引いて歩き出す
さっきまでは緊張しなかったのに、今はすごく緊張して、わたしはずっとドキドキしっぱなしだった
