あの出来事からしばらくして、わたしたちは3年生になった

日を重ねるごとに、鈴華と成海ちゃんを包む雰囲気もだんだん柔らかくなってきていた

「あ、そういえば
ずっと忘れてたー」

『え?何を?』

「桃たちに、篤史のこと紹介するの」

篤史くん…
ああ!鈴華の彼氏!

いろいろあったから、機会がなくてすっかり忘れてた!

『紹介してよ!
どんな人か見たいなぁ!』

「うん
でも、ただ紹介するだけじゃつまらないから…」

鈴華はわたしと駿君の顔を交互に見ると
ニヤッと笑った

「4人でダブルデートしない?」

「『ダブルデート?』」

わたしと駿君は口をそろえて繰り返す

ダブルデートって、テレビとか本でよく見るあのダブルデート!?

『したいしたい!!』

「でしょ?」

ずっと憧れてたんだぁ!

楽しそうだなぁ!

「駿もいいでしょ?」

「…なんでわざわざダブルデートなんだよ」

「桃と駿のデートでのいちゃつきを見てみたくて!」

『ふぇっ!?』

そ、そ、そんなぁ

そんなこと言われたら緊張しちゃっていつもどおりに駿君と話せないよぉ

「うーん…」

ほらぁ
駿君も困ってるよ〜

「じゃあ桃」

『へ?』

駿君が何か思いついたみたいで、わたしを見ながらにやりと微笑んだ

「気合い入れていこうぜ」

『へぇぇっ!?』

「がんばろうなー」

駿君は楽しそうに笑っている

でもわたしはもうすでに緊張してドキドキしてばかり

憧れていたダブルデートだけど、最後まで心臓がもつかな…

そんなわたしの心配とは裏腹に、ダブルデートの計画は着々と進んでいた