あなたとのキョリ


「わたしはもう少ししてから戻るよ」

『そっか
じゃあ、また後でね』

あれ?この光景…
あのときに似てる!

わたしが大泣きして、屋上で鈴華に慰めてもらったとき

あのときは、本当にこの世の終わりだーってくらい落ち込んでたけど

わたし
駿君のおかげで、今すごく幸せ


『じゃあね、成海…ちゃん』

少し照れながら名前を呼ぶと、成海ちゃんの顔がパアッと明るくなった

「うん!
また後でね、桃ちゃん!」

明るい笑顔を見て、本当の成海ちゃんのことを知れた気がして嬉しくなった


教室に戻ると、駿君が少し不機嫌な顔をしていた


涼太の方見てる?

駿君は、まだ涼太のこと許してないのかな…

『あのー、駿君』

「あ、おかえり
会いたかった人には会えたのか?」

『うん』

「そ、よかったな」

会話が終わると、駿君はまたすぐにそっぽを向いてしまう

やっぱり怒ってるみたい…

『あ、あのね駿君
涼太、ちゃんと謝ってくれたし、わたしも大丈夫だから』

「……」

駿君はわたしをじっと見たあと、頭をくしゃくしゃっと撫でた

『わぁ!しゅ、駿君!?何を…』

「まぁ、俺は桃のそういう優しいところが好きだからな…」

『え?何?』

「なんでもねぇよ」

聞き取れなくて聞き返すと、駿君は答えてくれないかわりにわたしに軽くデコピンをした

『え〜気になるよ〜』

わたしがそう言うと、駿君はふんわりと笑った

よくわからないけど
駿君もう怒ってないみたい

ほっ
これで一安心だね!


「そういえば桃
会いたい人って誰だったの?」

『んっとねー
あっ!成海ちゃん戻ってきた!』

「「は…?」」

『成海ちゃーん!』

戻ってきた成海ちゃんに飛びつくと、成海ちゃんは両手を広げて飛んできたわたしを受け止めてくれた

その光景を、駿君と鈴華がポカーンと見ていた

「え?待って
理解が追いつかない
何がどうなってこうなったの?」

鈴華は驚きすぎたのか、少し早口でそう言った

『説明すると長いんだけど、
えーと、何て言えば…
あ!成海ちゃんがいい子だったの!』

「だいぶ飛ばしたな!」

「わけわかんないわよ!」

『えー…』

そんなこと言われてもなぁ

どう説明すればいいかわからないし…


考えているわたしを見て、鈴華が呆れたようにため息をつきながら前髪をかきあげた

「もう、桃に何か言う気はないのね」

「うん
岡崎さんも…
今までごめんなさい…」

「成海…」

「駿ちゃんも…
ごめんね…」

成海ちゃんは2人に頭を下げて、静かにわたしを見た

「桃ちゃんのことも
すごく反省してます…」