あなたとのキョリ


「それで…なに?」

『あっ、えっと…』

屋上に着いた途端
成海さんはわたしの手を離してそう言った


なかなか話し出さないわたしを見て、成海さんは相変わらず不機嫌そうに腕組みをしている

怖い…

でも、言わなきゃ行けないんだ!

『あのね!
わたし、駿君が大好き!
だから、その…
駿君と一緒にいることを、認めて…もらえないかな…』

言い終わったあと
自然と体が身構えてしまう

うつむきながら、
何を言われるんだろうとビクビクしている

成海さんは黙ったまま何も言わない

この沈黙が怖いよ…

「…よかった……」

『へっ?』

よかった…?
聞き間違い?


「駿ちゃんが選んだのが…
あなたみたいな人でよかった」

『えっと、え!?』

わけがわからなくて、わたしはパニック状態

だって、だって
目の前にいるのは、本当に成海さん?

さっきとは別人のように
すごく穏やかで優しい表情をしている

「今までごめんね桜田さん…
ううん…謝って済むことじゃない…
…たくさんたくさん…
傷つけちゃったよね…」

『成海さん…?』

「ごめんなさい…ごめんなさい…
何度謝っても足りないけど…
本当に…ごめんなさい…」

成海さんは震える声で
何度も何度もわたしに謝る

「駿ちゃんのことが好きなのも本当
最初、彼女だって桜田さんを紹介されたとき、どうしようもないくらい妬いたことも本当…」

『えっ…と』

未だに状況がよく呑み込めていない

どういうこと…なの…?

「だから…
駿ちゃんが選んだ人が…
何を言われても駿ちゃんと一緒にいたいと思うかって…ことを…
確かめたくて…」

成海さんは途中からしゃくりをあげて泣き出した

わたしの、駿君に対する想いの強さを確かめたかったんだ…

「本当に…ごめんなさい…」

わたし、嫌われてるからひどいことばかり言われているのかと思ってた…

そっか…

『…あのね、成海さん
わたし、成海さんにいろいろ言われて
すごく傷ついた…』

「ごめんなさい…」

『でもね、おあいこ!』

「え…?」

成海さんも、駿君のことを大好きなんだよね

その気持ちは
わたしも同じ…

だから…

『わたしも、駿君と距離とっちゃった…
だから、おあいこなの!』

「桜田さん…」

『あれ?なっ、成海さん?』

成海さん
さらに泣いちゃった…

「本当にごめんなさい…
桜田さん…こんなにいい子なのに…
疑う必要なんて…なかったね…」

『わ、わたしいい子じゃないよ…』

涙で濡れた顔をあげて、成海さんがわたしをまっすぐに見る

「わたし…2人の幸せを…
ずっと…願ってるから…!
わたしには…これしか…できないけど…」

『成海さん…ありがとう』

「ううん…
わたしなんか…お礼言われる筋合いないの…
桜田さん…駿ちゃんを…よろしくね…」

『うん!ありがとう!』

成海さんはにっこりと微笑んだ


今度こそ
お友達になれたかな


少し不器用
でも、とっても一途な子


成海さん、
成海さんが気づかせてくれた駿君への想いの強さ

ずっと大切にしていくね


屋上で成海さんと一緒に笑いあったとき
このときを、わたしは宝物にするよ


ありがとう、成海さん