「桃、大丈夫か?」
『え?なんで?』
「目が赤い
また泣いたのか?」
教室に戻ると、
駿君が優しい声で問いかけた
駿君…
わたし
駿君と一緒にいたいよ…
『駿君…』
「ん?」
駿君がいつものように頭を撫でてくれる
『っ!』
安心する大きな手に
思わず涙がこぼれそうになった
わたしは唇を強く噛んで、無理やり笑顔をつくった
『駿君
わたしたち…』
「どうした?」
言葉の続きを言うのがいやだ…
でも言わなくちゃ…
『少し…
距離を置いた方がいいと思うの』
「…は…?」
当然駿君は驚いた顔をする
ごめんね
バカなわたしには
これしか思い浮かばなかったの
成海さんに
ひどいこと言われ続けるのにも限界が来てしまった
わたしの心がもっと強かったら
こんなことにはならなかったのかな
「桃?急にどうしたんだ?」
『…駿君ごめんね……』
こんなわたしが彼女でごめん…
それ以上なにも話さないわたしを、駿君が悲しそうな顔で見つめる
胸が張り裂けそうなくらい痛む
そんな顔させてごめんね…
駿君には何度謝っても足りない
ごめんね…ごめんね……
「……わかったよ………」
駿君は
最後にそう呟くと
自分の席に戻ってしまった
駿君…
一緒にいたいよ…
大丈夫…
成海さんに
何も言われなくなるまでの辛抱…
いつになるかわからないけど…
またあの温かい腕の中に戻れる日を
ずっと待つね…
