「岡崎さん
ちょっといいかな?」
『あれ?
井上君?』
放課後
荷物を準備して廊下に行くと、井上君が待っていた
なんか…
さっきのこともあって顔合わせづらい…
『えっと…
なにかな?』
「あ、途中まで一緒に帰れないかな」
『え?』
帰りたいな…
でも好きって自覚したばっかりだから恥ずかしい!
常に顔が赤くなっちゃいそう…
「だめかな…」
井上君がしょんぼりして下を向く
うっ…
『だっ、だめなわけないよ!
一緒に帰ろう!』
「ありがとう」
子犬みたいになった井上君を見て
わたしはついそう言ってしまった
大丈夫だよね?
隣を歩く井上君
少し離れた微妙な距離
その距離が
心の距離を表しているようで切なくなる
「岡崎さん」
『ん?』
1人で勝手に落ち込んでいると、井上君が遠慮気味に声をかけてきた
「…俺、岡崎さんのこと好きだよ」
『…え?』
突然の告白に
言葉が出なくなる
「岡崎さんのこと絶対守る
あいつみたいに、岡崎さんの想いをふみにじったりしない」
涙で視界がぼやける
「俺のこと信じて…
なんて偉そうなことは言えないけど
今言ったことは、全部本当のことだから
岡崎さんが、大好きです」
井上君がまっすぐにわたしを見る
思うだけでよかったのに
それ以上は望まないって思ってたけど…
『わたしも好きだよ…!』
わたしはそう言うと
井上君の胸に飛び込んだ
井上君は、わたしをしっかりと抱きしめてくれる
『井上君のこと信じてる!』
「…ありがとう岡崎さん
絶対に、大切にするから…」
井上君が抱きしめる腕に力を入れる
〈お前のこと好きになるやつなんて
現れねえよ〉
彼の言葉にまだ胸が痛むけど
井上君と一緒なら
いつか、この胸の痛みもなくなるよね…
わたしの本当の初恋が
実った瞬間…
✻鈴華side end✻
