重い足取りで中庭に行くと、もう叶真は来ていた。
「遅い。何やってたんだよ」
ジュースを飲んで待っていた叶真があたしに気付いた。
どうしよう、なんて言えばいい?
いつも素直になれないあたしだけど、こんなこと嘘なんてつきたくないよ。
「あー、腹減った。乃愛、弁当は?」
後ろ手に持っていた手提げバッグを叶真に見つからないように自分の体で隠す。
「あの、それが……持ってきてたと思ったんだけど、家に忘れてきたみたい」
なるべく平常心で言ったつもりだったけど、あたしのことをじっと見つめてくる叶真から咄嗟に目を逸らしてしまった。
目なんて逸らしたら余計に怪しまれちゃうのに。
「期待させといて何だよこのオチ。
昼飯どうすんだよ。何も買ってきてねぇんだぞ?」
叶真の不機嫌そうな声が余計にあたしを責めてる気がした。