「野々村のヤツ、相変わらず気が強いな」
思いだし笑いをしながら空き教室に入った叶真は、空いてる席に適当に腰かけると椅子にもたれかかる。
「夏帆は、イケメン嫌いだから仕方ないよ」
あたしも叶真と少し席を空けて、適当な場所に座ろうとすると
「おまえは俺の隣」
机に右肘をついて、頬杖をついた叶真が上目使いであたしを見てくる。
本当は叶真の言うとおり隣に座りたい。
だけど、素直になれないあたしは頷くことができない。
叶真が座ってる場所からひとつ分空けた席に座ると、残念そうに目を閉じる。
「素直じゃないな、相変わらず」
「褒め言葉ありがとう。
でも、そんなあたしのことが好きなんでしょ」
“好き”なんてそう簡単に言ってくれるなんて思ってない。
だって、叶真は――。
「さぁ、どうだろうな」
ほら、こうやっていつもはぐらかす。

