「10分だけだから。それ以上の独占は許さない。
私の乃愛を貸してあげるんだから、貴重な時間は有効に使ってよ、ヒラギ」
「時間限定かよ。ま、10分あれば十分だな」
口の端を持ち上げて笑った叶真は、あたしを引っ張り教室から出ていく寸前で足を止める。
「野々村、あんま響をイジメんなよ。
響にとって野々村は、一応お気に入りなんだから少しは優しくしてやれよ」
「は!? ちょっと何言っちゃってんの叶真」
いつも落ち着いてる風間君が目を泳がせて焦っているのがあたしにもわかる。
「ヒラギ、私がイケメン嫌いって知ってるでしょ。
だったら、変なこと言うのやめてよね」
迷惑そうな顔して夏帆は自分の席につく。
そんな2人の反応を見て満足した叶真は、あたしを連れてそのまま教室を出る。
叶真は気付いてないかもしれないけど、クラス中の女子からの視線が刺さること刺さること。
あまりにわかりやすい態度にもう笑うしかない。

