「なぁ、おまえキャラ弁作れる?」
それはお昼休みのこと。
周りから刺さるチクチクする視線を何とも思わない叶真がいきなりこんなことを言い出した。
叶真の口からキャラ弁なんて言葉が出てくるなんて、周りから刺さる視線よりそっちの方が驚きだ。
教室で叶真とお昼を過ごすのは嫌だった。
だって、クラスの子達がコソコソと嫌みを言うし、何よりもあたしは目立ちたくなんかないのに。
叶真が横にいるだけで嫌でも目立ってしまうから。
なのに、叶真の言葉で今はそんな嫌な感情さえ吹き飛んでいた。
「何? キャラ弁なんかに興味あるの?」
内心では驚きつつも、叶真には眉根を寄せて怪しげな顔を返す。
「ちげぇよ。いや、まぁ……なんつーか」
叶真にしては珍しく歯切れの悪い答え方。