コイツのことだから、表情ひとつ崩すことなく「嫌いに決まってるでしょ」って言うの目に見えてるけど。
自分で言っておきながら、今頃になって『俺ってバカじゃん』と思う。
けど、たまにはバカだって思うことしてみるもんだとこの時思った。
「何、それ……。
好きじゃないけど……嫌いでもない、と思う」
そうぎこちなく答えた乃愛の顔はほんのりと赤くなっていた。
それが夕日のせいなのか、照れのせいなのかわからない。
だけど。
なんだ……コイツ、こんな顔もできんじゃん。
目の前にいる乃愛は、困ったように目を彷徨わせていた。
「へぇ、じゃあ普通ってこと?」
「そ、そうじゃない! 普通より少し下だけど、嫌いよりは上っていうか」
慌てて反論してくるそんな乃愛を見ていて思った。
素直じゃないヤツって。

