イジワル彼氏の不器用な素顔




夏帆とは高校に入ってからの友達だけど、周りがカッコイイと騒ぐ人には見向きもしない。



あたしもその類だったのに、それをアイツによって狂わされてしまった。



ただの女たらしならよかったのに、誰にも見せない姿を見てしまったせいで、不覚にも恋に落ちてしまったんだ。



そんなあたしの気持ちを唯一知るのは、この夏帆だけ。



「まぁまぁ、2人とも。朝から喧嘩しちゃダメだよ」



「はぁ~、乃愛ちゃんはオレのオアシスだよ。

叶真なんてやめて、今度オレとデートしない?」



こんなことを軽く言うから、またクラス中の女子からの矢のような視線があたしに突き刺さる。



「ちょっと風間! 乃愛に変なこと吹き込まないでくれる?

この子は純粋なんだから、あんたの毒牙の餌食にしないでよ!」



「えー!? 毒牙の餌食ってそれヒドイよ~。

オレのハートが超傷ついてるから夏帆ちゃん癒してよー」



そう言って、甘えたような声を出して夏帆に抱き着こうとする風間君。



だけど、それを夏帆が許すはずもなく。



――バチン!