叶真とのデートで連れてこられたのは、叶真のお母さんが眠るお墓。



柊家と書かれた墓石の前には、キレイな花が備えられていた。



ここにくる途中に花を買った叶真を不思議に思っていたけど、お母さんのためだったんだ。



お線香に火をつけた叶真は、長い間お墓の前で手を合わせたあと、お母さんに話しかける。



「母さん、遅くなったけど連れてきた」



そして、あたしに振り返る。



「乃愛、母さんに挨拶してやって」



「い、いいの?」



「ああ、喜んでくれると思うからさ」



叶真と入れ替わりで墓前に座ると、ドキドキしながら手を合わせて目を閉じる。