普通、響にこんなことを言われたら女なら喜ぶとこだけど。
「なんで私が風間の相手をしなきゃいけないのよ」
相変わらず手厳しいヤツだよな。
響が相手だからだろうけど。
「野々村その辺にしといてやれって。
響だって野々村と仲良くなりたいって思ってんだから」
「叶真、おまえほんといい奴!」
勢いで俺に抱き着いてこようとする響を全力で阻止する。
「私と仲良くしたいんだったら、いい方法があるわよ」
珍しく響にちょっとだけ優しい野々村に、俺もその方法が気になった。
「あんたがイケメンじゃなくなればいいのよ」
可愛い顔してすごいことを言った本人は卵焼きをバクッと食べる。
イケメンじゃなくなればいいって、こんなこと言うヤツ初めて見たんだけど。
「もう〜夏帆ちゃんてば、イケメンじゃなくなればいいなんて酷いんだから。
今のオレだから夏帆ちゃんに相手にされてるのに、これ以上無視されるようになったら、本当に拗ねちゃうからね」
「風間ってバカなの……?」
野々村が言ったことの意味を別の意味に捉えた響。
コイツって、ある意味最強かもしれない。
運命の相手とやらを探す響に、まだまだその道のりは険しく遠そうだと俺は思った。