「ヒラギ〜、ちゃんと乃愛のこと大事にしてよ」
教室で昼ご飯を食べながら、野々村がずっと絡んでくる。
「か、夏帆。もういいから」
乃愛は小声で野々村を止めようとするけど、これだけはハッキリ言っておきたい。
「野々村に言われなくてもそのつもりだけど」
「あんたはそこが可愛くないのよ! 私が言ったことに素直に「はい」って言えないの!?」
乃愛が俺とちゃんと両想いになったことを知った野々村は、乃愛にはおめでとうと言って祝福したのに、
俺にはそんなめでたい言葉はひと言もなし。
その代わりにさっきから説教混じりに俺に絡んでくる。
「もう夏帆ちゃんそんなに怒ったら可愛い顔が台無しだよ?」
おにぎりを食べた響が野々村をなだめにかかるけど。
「あんたにそんなこと言われるなんて余計なお世話よ!」
響も黙ってればいいのに、余計怒らせてどうすんだよ。
「だって余計なお世話でもしないと、夏帆ちゃんに相手にされないでしょ」
ちょっと拗ねた感じに見える響は、チラッと野々村の様子を窺う。