この時、弟の大空はまだ2歳半だった。



まだまだ母親が必要な時期で、母さんが大好きだった大空。



母さんも30過ぎてからできた子供だったから、大空を凄く可愛がっていた。



病気のことを告知された時、どんな気持ちで聞いていたんだろう。



そう考えると、涙が止まらなかった。



大人ぶってたけど、俺だってあの時はまだ中学生。



母さんのために何かしてやりたいと思っても、どうやって接していいのかわからなかった。



いつもと変わらず元気な母さんを見てると、本当は病気なんて嘘じゃねぇのかって思えてきて。



俺達の前では落ち込んでる姿なんてひとつも見せなかった母さん。



でも、俺は知ってた。



俺と大空が寝静まって父さんと2人きりになった時、母さんは隠れて泣いてたんだ。



死と隣合わせの恐怖。