叶真の声がして、部屋のドアが開く音がする。



なんでこんなところまで追いかけて来るの?



あたしの気持ちも知らないで、あんなことしておいて。



叶真が何を考えてるのかわからないし、もう顔も見たくない。



ベッドを背にしてお気に入りのピンクのクッションに涙でぐしゃぐしゃになった顔を押し付ける。



「乃愛」



叶真の緊張を含んだ声があたしを呼ぶ。



あたしは呼ばれても喋りたくもない。



クッションに顔を押し付けたまま、叶真のことを無視していると近付いてくる気配がする。



持っていたクッションをぎゅっと掴んだ。