大空を連れて着いたのは乃愛の家。
インターホンを押すだけなのに、変に緊張する。
いきなり訪ねて、乃愛が俺に会ってくれるかわからない。
インターホンを前に考え込んでいた俺は、下から見上げる大空と目が合った。
「あれ、叶真さん?」
大空から呼ばれた声の方へと視線を向けると、制服姿の乃愛の妹が学校帰りなのか鞄を持って立っていた。
「どうしたんですか? 家の前で」
俺に近寄ってきた妹は、俺の隣にいた大空に目が釘付けになる。
「えー! 何この子! 超可愛いんですけどっ」
大空を見てすぐに、どこから出してるのかわからない高い声を出して、表情をふにゃりと崩す。
大空は初めて会った相手だから、俺の足に隠れて乃愛の妹を見ていた。
「え、叶真さんの弟さんですか?」
「あ、ああ。あのさ、乃愛いる?」
大空に興味津々の妹に尋ねると、軽く首を傾げた。
「お姉ちゃんならたぶんもう帰ってきてると思いますよ。
部屋にいると思うんで、あがっちゃってください」
「どうぞ」と促されて、戸惑いつつ大空を連れてお邪魔させてもらうことにした。