乃愛がそんなこと……。
「叶真先輩が勘違いしてるみたいなんで言いますけど、僕は乃愛先輩の練習に付き合ってただけです。
タイミング悪いところに先輩が来ちゃったんで、誤解されても仕方ないですけど。
乃愛先輩が好きなのは僕じゃありませんよ」
大地の言葉に信じられない気持ちでいっぱいになる。
好きな人に好きって素直に伝える。
乃愛がほんとにそんなこと言ってたのか。
「ダメじゃないですか。
付き合ってるならちゃんと言葉にしてあげないと、女の子は不安になるんですよ。
叶真先輩ともあろう人がそんなこともわからないなんて、僕見損なっちゃいますからね?」
大地が胸倉を掴んでいた俺の手をそっと離す。
そして、可愛らしくにっこりと笑った。
「喧嘩は時間が経てば経つほど長引きます。
だから、早く仲直りしていつもの自信満々な叶真先輩に戻って下さい。
僕の目標でもあるんですから、どーんと構えていてもらわないと困ります」
俺の左胸に軽く拳をあてると、大地は俺には振り返らず2年の廊下から去って行った。

