ここ最近、ずっと乃愛の顔をまともに見て話せてない。
今まであんなに話してのに、急に何なんだよアイツ。
俺に言いたいことがあるならハッキリ言えばいいのに。
肝心なことはいつもだんまり。
せっかく乃愛に近付けたと思ったのに、そう思ってたのは俺だけかよ。
ひとりになると考えるのはどうしても乃愛のことばかり。
「はぁ、大空を迎えにいくの遅くなるな……」
昇降口で靴を履き換えようとして、乃愛の靴がまだ残ってることに気付く。
アイツ、確か俺より先に教室出たはずじゃ。
なんで残ってるんだろうと不思議に思い、まだ残ってるなら話しができるかもしれないと乃愛のことを探し始める。
乃愛とまともに話せない日が続いていた俺は、もう限界だった。
嫌がっても俺と目を合わさない理由を聞いてやる。
乃愛がどこにいるんだろうと、1年の渡り廊下を通った時、誰かが話してる声が聞こえてきた。
こんな時間に残ってるのは部活やってるヤツか委員会で残ってる生徒くらい。
不思議に思いながら、中庭に向かって歩いていくと、中央のテラス席に大地とそれからの愛の姿を見つける。