重い足取りで田辺君との待ち合わせ場所に行くと、彼はもう来ていた。
「あ、乃愛先輩、お疲れさまです。
叶真先輩にバレませんでした?」
「うん、大丈夫」
テラス席に座ると、田辺君があたしの顔を覗きこんできた。
「元気ないですね? やっぱり僕じゃ役不足ですよね」
「そんな……そんなことないよ」
こんなことしか言えなかった。
田辺君はあたしのことを思って協力してくれてるのに。
「叶真先輩みたいにカッコよくはいきませんけど、本番のつもりで練習しましょうか」
あたしを元気づけようとしてくれてる田辺君に胸がズキリと痛んだ。

