意外そうな顔をして俺を見てくる響に、目線を下に落とす。
あるに決まってんだろ。
乃愛と付き合うようになってから、わかんないことばっかりだ。
言わないだけで、不安になることなんていっぱいあるし。
「おまえは? 付き合ってる彼女のことでわかんないこととかないわけ?」
俺から響に何か聞くってことはほとんどないから、きょとんとしながらも笑われた。
「オレなんてしょっちゅうだよ。
女の子ってさ、当たり前だけどみんな違うじゃない? 付き合うたびに壁にぶち当たりまくりだって」
コイツいつも余裕ありそうなのに、あんまり顔に出ないってことは損してるタイプ?
なんて思ってる俺も周りからそう見えてんのかもな。
「まぁ、そんな不安になることないんじゃない。
乃愛ちゃんなら大丈夫だよ」
「なんでおまえにそんなことわかんの?」
「うーん、幼なじみの勘ってやつかな」
先生に順番で呼ばれた響はそれだけ言うと立ち上がる。
よくわかんないけど、乃愛が話したくなるまで待てってことか。
友菜と話をする乃愛を見る。
何を話してるのか聞こえないけど、乃愛と談笑する友菜をこの時ばかりは羨ましく思った。