「あー、ヤバイ……今おまえに無性にキスしたくなってきた」
「は!? ちょ、やだ離れてよ!」
ジタバタと暴れ始めた乃愛は、両手を自分の口元に持っていき覆ってしまう。
その色気のない行動につい笑いが零れる。
「ばーか。するわけねぇじゃん。
俺は一応病人なんですけど、もっと優しく扱って下さいよ」
乃愛を抱きしめたままベッドに横になる。
「ごめん。熱あがってない……?」
俺が病人ってことを思い出した乃愛は、シュンとして心配そうに俺の頬に手を添えてきた。
乃愛が隣にいてくれたら、よく眠れるんだけど。
「仕方ないから、もう少しだけ側にいてあげる」
「乃愛のくせに、生意気」
乃愛らしい言い方にちょっと安心する。
そんな簡単に過去のことを忘れられるなんて思ってない。
俺は今の乃愛ごと好きになったんだ。
過去を思い出す暇がないくらい、俺のことだけしか考えられないようにしてやるから。
だから早く、俺の気持ちに追いつけよ乃愛。
俺はずっと待ってるから。

