「だって、あの時は今みたいに強くなかったから。
それに初めての彼氏だったから、そんなこと言えるわけない」
へぇ、可愛い中学生時代だったってわけか。
まぁ、その元カレのお陰で俺は今の乃愛と出会えたわけだけど。
「あー……元カレがおまえのこと振ってくれてよかったよ」
「なっ……! あたしの過去の傷をえぐらないで」
途端に声に元気がなくなった乃愛の肩口に顔を埋める。
こんなふうにちゃんと乃愛のことを抱きしめたことなかったから、コイツから出てる甘い匂いに頬を摺り寄せたくなる。
「だって、元カレがいなかったら、今のおまえはいなかったってことじゃん。
今の乃愛を作ってくれたのは元カレなら、俺はそのことだけそいつに感謝してやる」
乃愛のサラサラの髪を耳にかけて、柔らかな耳朶に唇を這わせる。
それだけで、乃愛が大きく身じろいだのがわかる。
「と、叶真……っ」
「耳、弱いんだっけ?」
からかう俺に乃愛は耳まで真っ赤にする。

