それでも頑なに拒み続ける乃愛を俺は逃がさない。
「やだ……! 離して……!」
「離してほしいなら、力ずくで逃げてみろよ」
しっかりと乃愛の体を抱きしめてる俺の腕の中で乃愛が必死にもがくけど、そんな些細な抵抗じゃ俺はビクともしない。
「逃げる度胸もないくせに、俺に別れるとか言うなんて生意気なんだよ。
俺に相応しい子がいる? そんなもんおまえに決められることじゃねぇだろ。
俺が誰と付き合うのか、それを決めるのは俺だ」
「だって……こんな過去があるあたしは幻滅するでしょ!?
あたしの気持ちが重いって、気持ち悪いって、人形みたいだって言われたのよ!!」
やっと俺の顔を見た乃愛は、涙を流しながら思ってたことをハッキリぶつけてきた。
「それはアイツの言ったことだろ。
今おまえの前にいるのは誰だよ! 元カレじゃなくて俺だろ!
俺がおまえのことそんなふうに思うって、乃愛はずっと思ってたのか?」
風邪で思うように声が出なくて上手く言えないけど、俺にだって諦められないものができたんだ。
それを簡単に手放すなんてできねぇんだよ。