「これがあの日、あたしの様子がおかしかった理由」



あたしが話を終えるまで何も言わなかった叶真。



何をどんなふうに思ったのか知るのは怖い。



いつまでもそんなこと引きずってるなって言われるかもしれない。



でも、あたしの心に深くできた傷はそんな簡単に治せるものじゃない。



「びっくりした? あたしもまさかって思ったよ。

まぁ、ただ単に男の人を見る目がなかったってことだよね」



叶真に何を言われるのだろうと思うと怖くて、早口で勝手に言葉が出てくる。



いつも通りにしてないと、気が緩んで叶真の前で泣いちゃいそうだから。



「叶真に口癖みたいに素直じゃないって言われてるけど、こういう理由なの。

だから、この先もずっとあたしは素直になんてなれないんだよ」



こんな女は可愛くないもんね。



叶真にはもっとお似合いの子がいる。



あたしじゃなくて、他の誰かが。