言いながらあたしがいることも気付かずに、教室ドアを引き開けた3年の女の先輩。
廊下に立っていたあたしを見て、目を大きく見開く。
「え……?」
言葉が出ない様子で固まる先輩に、中にいた2人も続いて廊下に出てきた。
「どうしたんだよ? あ……」
あたしがいることに激しく動揺した先輩達。
だけどすぐに宇野先輩は何事もなかったように普通に声をかけてきた。
「乃愛ちゃん今来たの? あ、クッキー作ってきてくれたんだね」
いつもと変わらない態度。
今の先輩に笑いかけられても優しくされても、全然ドキドキもしない。
むしろ嫌悪感さえ感じる。
あたしに近寄ってきて、クッキーに手を伸ばそうとした先輩の手を払いのけて、クッキーを袋ごと投げつける。
「ちょ……! 何するの乃愛ちゃん」
先輩がムカついた顔をしたのが一瞬だけ見えた。
本当に好きだったのに、騙してたなんて。

