手に持っていたクッキーの袋を握りしめる。
「だからあんなに優しく声かけてたの?
てか、あんたが優しい人のフリしてる最低なヤツって知ったら傷つくんじゃないの?
彼女かわいそー!」
キャハハと教室内に響く3年の女の先輩の笑い声。
優しい人のフリ?
フリなんて先輩がするわけないよ。
だって、あんなに優しいのに。
何を言われてるのかよくわからない。
「優しい人でしょ俺は。失礼なこと言わないでくれる?
素直で俺を好きだってことを表してくれるから、本当そういうところは可愛いんだけど。
それは最初だけだったかな」
どういう意味……?
あたしが知ってる先輩は、誰にでも優しい人で人を悪く言うなんて考えられない。
「俺が髪が長い子が好きって言ったら、髪を伸ばし始めて、お菓子作れる子が好きって言った途端に作って持ってくるようになってさ。
ちょっと俺に似合う子にしようと思って試しに言ってみたら、ほんとに間に受けちゃって」
「うわ、おまえそれ最低じゃん。
だって竜也は髪短い子が好きだし、甘いものだって苦手だから食べないじゃん」
「だから宇野ってば、あたしらに最近お菓子くれてたのー?
あんたのお陰でお腹ヤバイんですけど」

