イジワル彼氏の不器用な素顔




「え? 宇野先輩って確かボブが好きだって聞いたことあるけど」



「えぇ? 嘘だよ。だって、あたし先輩にそう言われて」



「ううん、間違いないよ。

先輩は髪が長い子よりボブくらいの髪の長さの子の方が好きだって」



どういうこと?



友達が言ってたことが本当なら、先輩があたしに言ってたことは丸っきり正反対になる。



「でも、人の好みなんて変わるものだから、そんなに気にすることないよ」



友達はあたしの様子に気が付くことはなく、励ましの言葉をかけてくれたけど、あたしはまったく聞いてなかった、



そんなある日。



放課後に先輩が好きだと言ってくれたクッキーを持って、3年生の教室に向かっていた。



今日は部活がないらしく、久しぶりに一緒に帰ろうと先輩からお誘いのメールをもらった。



今日のは上手にできたし、先輩喜んでくれるかな。



淡い期待が自分の胸の中で膨らむ。



先輩の喜ぶ顔を想像しただけで頬が緩んだ。



先輩がいる教室の近くまで来て、緩んだ頬を引き締める。



普段は3年生がいっぱいいて近寄りがたいけど、ほとんどの生徒が帰ったあとらしく廊下には人の姿は見当たらなかった。