それからは必死だった。
先輩に清楚な感じの子がいいと言われれば、そうなれるように頑張ったし。
頭のいい子が好きなんだよねって言われれば、嫌いな勉強だって頑張れた。
お菓子が作れる子って女の子らしくていいよねって言われたから、お母さんに教えてもらって一生懸命練習だってした。
ずっと憧れてた人の彼女になれたことがあたしは本当に嬉しかったんだ。
だから、先輩にどんな我が儘を言われても、嫌われたくないから全力で頑張ってた。
いつか好きだって言ってもらいたい。
それだけを目標に先輩に言われたことは、全部やってきた。
頑張れば頑張るだけ先輩は褒めてくれて、それが嬉しくて相手に好きになってもらうっていうことをあたしは勘違いしてたんだ。
「乃愛ちゃん、最近可愛くなったね」
友達にそう言われてちょっと嬉しかった。
「好きな人がいると何でも頑張れちゃうよね。
先輩が髪が長い子が好きだって言ってたから伸ばし始めたんだけど」
肩まで伸びた髪を指先で遊んでいると、友達が不思議そうな顔をした。

