そんなある日、先輩があたしのことを知る出来事が起きた。
同じクラスの仲が良かった友達がバスケ部のマネージャーをしていて、突然あたしにこんなことを言ってきた。
「ねぇ、乃愛ちゃん。
今度、バスケ部のみんなとカラオケ行くことになったんだけど、もしよかったら一緒にいかない?」
「え? でも、あたしバスケ部じゃないし」
「大丈夫! 部長が仲のいい子も連れてきていいって言ってくれたから。
それに、乃愛ちゃんの好きな宇野先輩もいるよ」
宇野先輩が?
宇野先輩はバスケ部のエース。
あたしも何度も部活の練習風景や試合を見に行ったことがある。
「宇野先輩に乃愛ちゃんを知ってもらう機会じゃん。
ね、一緒に行こうよ」
先輩のことをカッコイイと言いながらも、見てるだけのあたしに友達は、先輩と近付ける機会を作ってくれた。