そのまま夏帆の肩を引き寄せて顔を近付ける叶真。
周りの子からは悲鳴のような声があちこちで上がり、あたしもいくら決めたこととはいえ、本当にしようとしてる叶真を直視できなかった。
やっぱり風間君が言ったこと、何も当たってないじゃない。
ちょっとは違うのかなって、信じてみようかなって思い始めてたのに……やっぱりみんな同じ。
こんなバカげた優勝賞品のキスなんて、止めなきゃいけないことなのに、あたしはショックでそれすらもできなくなっていた。
「なんて……俺がこんなとこでキス、すると思った?」
えっ?
そんな叶真の声がして、逸らしていた視線を叶真のほうへと戻す。
見ると、至近距離にあったはずの叶真の顔は、夏帆から離れていて意地悪気に口の端を持ち上げて笑っていた。
「誰もあんたにキスしてほしいなんて言ってないんだけど?
ここでしなかったのは褒めてあげる」
「それはどーも。
まぁ、優勝したのは野々村だけど……俺は勝手に決められたもの貰うのは好きじゃないんだよね」
叶真が放ったひと言は、リーダー格の子に向けられた言葉だったようで、それに気付いた彼女は顔を真っ赤にして俯いていた。

