イジワル彼氏の不器用な素顔




家の近くまで近付いてくると、段々とあたしの気持ちも落ち着きを取り戻してきた。



ファミレスからここまで叶真は何も言わず、何も聞かずただ手だけを握って歩いてくれていた。



あんなふうになっちゃうなんて、自分でも驚いた。



もう関係ないって、忘れたはずなのに忘れられない。



ぎゅっと目を閉じた。



「少し落ち着いたか?」



それまでひと言も話をしなかった叶真が優しい声で尋ねてきた。



こんなに優しい声であたしに話しかけてくる叶真は初めてだ。



変に、思ったよね。



「ん。ごめん……」



他に返す言葉が思いつかなかった。



「何謝ってんだよ。らしくねぇな」



いつもみたいにからかい混じりの笑いを漏らす。



でもそれ以上、何があったんだって叶真が詮索することはなかった。



普通なら理由が気になるはずなのに、叶真は何ひとつ聞かずにいてくれる。