叶真の気になる言葉の続きは、あたしには聞くことができなかった。



だって、あたしはみんなが言う名前だけ形だけの彼女だから。



聞く権利なんて、ないんだ。



「だから、早く……」



秘めてる自分の気持ちは日に日に膨らんでいくのに、それを上手く整理できずにいる。



ひとりで落ち込んでるあたしには、叶真が言う言葉も耳には届かなくて。



あたしの顔に影ができ、それを合図にそっと目線を上にあげた時だった。



叶真の整ってる顔が間近に迫り、唇が触れた。



「……っ!?」



「俺のこと、好きになれ」



顔に熱が集まってくるのがわかる。



叶真の唇が触れた頬が熱い。