あたしの名前は望月乃愛(もちづきのあ)
「ちょっと望月さん! 叶真君にどんな色目使ったのよ」
「望月さんにそんなテクがあると思えないけど、叶真の彼女がこんな子なんて許せないわよね」
平穏だったはずのあたしの高校生活。
友達を作って、普通に恋をして、たくさんお洒落をして
そんな生活が送れると思ってた。
あの日までは――。
「質問してあげてるのに無視!?」
質問?
今のは誰が聞いたって嫌みにしか聞こえないでしょ。
「叶真君の彼女になれたからって、いい気にならないでよね!」
いい気ってどんな気なのよ。
あたしだって、こんなふうにアイツの彼女になりたくなんてなかった。
好きの言葉さえない、こんなゲームみたいな付き合い。
毎日毎日アイツを好きな女子たちから受ける嫌みの山。