叶真には悪いけど、もう帰ろうとした時。
後ろから腕があたしの肩に回ってきて、ふわりと抱き寄せられる。
えっ? なに?
「何勝手に帰ろうとしてんだよ」
耳元に唇を寄せて、叶真の声が直接響いてくる。
「こわーい顔して睨んじゃって、妬いちゃった?」
いきなりのことで驚いたけど、叶真の声で冷静になる。
「そんな顔してないし、妬いてもない」
「おかしいな。俺が声かけられてるの見て、鬼みたいな形相で睨んでたの誰だったかな」
鼻の下伸ばして喜んでるのかと思ったら、ちゃっかりあたしのこと見てたってこと!?
「睨んでないから! ていうか、女の人たち待ってるんじゃないの?」
こんなこと本当は言いたくない。
あの人たちの誘いに乗らずに、あたしのところに来てくれたのが本当は嬉しいのに、それを口にすることができない。

