そしてチケットを買う順番が回ってきた。
でも、こんな気持ちで恋愛映画なんて観たら、余計に虚しいだけだよね。
言った手前、引き下がることもできず、仕方なく映画のチケットを買おうとする。
だけど――。
あたしが映画のタイトルを言う前に叶真の口から思いもしない映画のタイトルが。
「叶真が観たいのそれじゃないでしょ?」
すかさず言ったあたしに慌てる素振りはまったくなくて、スムーズにチケットを買い終えてしまった。
「ん。乃愛の分」
なんでもないことのように上演チケットを渡されて意味がわからない。
受け取らずに呆然としていると、無理矢理にチケットを手に握らされる。
「なんで……?」
「あーぁ、苦労するわ、本当。
素直じゃない彼女だと、映画ひとつ観るのでさえ探るの大変で」

