「あーぁ、あんたも災難ねぇ。
初デートがあんな強引な誘い方なんて」
その一部始終を見ていた夏帆が哀れみの目を向けてくる。
「そう思うんだったら助けてよ」
ぐったりと疲れて椅子の背もたれに体を預ける。
「ヒラギがイケメンってとこはマイナスだけど、乃愛にはあれくらい強引な方が合うんじゃない?」
「合うわけないじゃん。疲れるだけだよ」
彼氏に合わせるなんて、ストレスが溜まるだけ。
『乃愛ちゃんって、つまんない女の子だね』
「乃愛? どうかした?」
一瞬だけ嫌なことを思い出して、夏帆の声で現実に戻る。
「ううん、なんでもない」
なに今ごろ思い出してるんだろ。
もう忘れたはずなのに。
頭を横に振って、息を深く吐き出した。

