「他の子と一緒にしないでよ……。

あたしは叶真のことなんて、何とも思ってないんだから」



乃愛が俺のことを好きじゃないってわかってるけど、こう頑なに自分に言い聞かせるみたいにされると、俺だってムキになるんだよ。



「じゃあ、俺が乃愛のこと特別だって言ったら、おまえは俺のこと好きになるの?」



足を止めて乃愛の顔を覗き込むと、途端にそらそうとする。



それを許さない俺は、乃愛の後頭部に手を回して顔をそらせないように頭を固定する。



すると、乃愛の顔は自然と上を向き、嫌でも俺と目が合う。



「あたしのこと好きじゃない人に特別なんて言われても、何も響かない」



顔を近付けていた俺の動きがピタッと止まる。



「誰でもいいならあたしじゃなくてもいいでしょ」



唇を噛んで、小さく震えながら一生懸命に俺から目を逸らさない乃愛。