「ただ、自分でも気付かないうちに見ちゃうというか」
「だから恋じゃないって?」
問われて迷いなく頷くと、夏帆は呆れたようにも見える笑顔を浮かべて頬杖をつく。
「無意識に気になる相手のこと見ちゃうなんて、完全なる恋する乙女の行動でしょ。
相手があのヒラギってのが気に食わないけど、乃愛が好きになった相手なら、私が嫌いな相手であっても応援してあげるよ」
あたしの想像では、嫌いな相手を好きだと言った場合、夏帆は絶対に「やめなさい!」って怒ると思ってた。
なのに、その想像はまったく外れていて、驚きに口をポカンと開けて夏帆を見てしまった。
「あ~、なぁに? もしかして、私が怒るとでも思った?
そりゃあね、乃愛がいばらの道に進むのは友達として見過ごせないけど」
いばらの道って……表現が古くない?
とは言えず、心の中でそっと突っ込んでみる。
「乃愛が好きになった相手なら上手くいくように応援してあげるよ。
友達の不幸を願うほど、私も鬼じゃないしね」
まさか夏帆がこんなふうに言ってくれるなんて思わなくて、変に緊張していた体から自然と力が抜けていく。
目で追っていても、あんな奴好きじゃないって自分にずっと言い聞かせていた。

