イジワル彼氏の不器用な素顔




「へぇ~。あの女たらしがねぇ」



イケメンで遊び人が大嫌いな夏帆は、椅子の背もたれに体を預けて足を組んで座りながら、今日も廊下で女子に囲まれまくってる叶真を見てた。



あたしが見た柊叶真の意外な部分を聞いた夏帆は、しばらく考え込むように叶真を見続ける。



「それで、ヒラギのことが気になって目で追ってるうちに、知らない間に恋に落ちたってことだね」



「そう……って、違う! 恋なんてしてない」



慌てて訂正するあたしに夏帆は「まぁまぁ」と手で制する。



「あの、ちょっと話が脱線するけど、そのヒラギてなに?」



自分の話を一旦置いておき、気になることを突っ込んでみる。



「あー、あいつの苗字が柊(ひいらぎ)だから長いじゃない?

だから、ヒラギって呼びことにしたの。

ま、単なるあだ名よ、あだ名」



長いって、たった4文字なのに変なところでめんどくさがり屋だな。



「で、恋しちゃったんでしょ、あの女たらしに」



ズイッと顔を近付けてきた夏帆に驚いて身を引くと、間近でニヤリと笑われる。



「だ、だから違う……よ」



力ないあたしの言葉なんて説得力がない。



恋なんてするわけない、あんな顔がいいだけの奴に。



そう思うのに、叶真の姿を見つけると無意識に目で追っている自分がいるのも事実。